記録所。

ブロマガからの移転記事です。

憧れのセリフを「 」に入れてみよう。(CD『Sing the Prologue♪』感想)

どうも。59と書いて「ごきゅう」です。
しょうでもガ○ダムでもパン○ライオンでもありません。佐○男子でもありません。



前回、世界滅亡 or KISSの先行公開を聴いてあれこれブロマガに書きました。なんというか、想定外の片付けられ方はしましたが、思いのほか自分の考えは間違ってなかったように思ってとてもほっこりしています。

今回は衝撃が強かった春恋フレームについてあれこれ書こうとしたのですが、色々考えていたら「あれっ、このCD実はちゃんとひとつの物語だな?」というところに至ったので、CD全体での話をしていきたいと思います。したがってネタバレになりますので、まだ聴いてない方はご注意くださいね。



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ネタバレ防止の間尺稼ぎのあいだ、わたしと各アイドルの距離感をまず先にお話しておきましょう。わたしは現在、いわゆる「担当」を28人抱えていて、サッカーになぞらえたアイドルチーム「フィフティーナイナーズ」を結成しています。恋愛も移籍も自由自在なわがチームは今のメンバー含めこれまで49人のアイドルが所属してきまして、おかげさまで創設5年目を迎えました。
喜多日菜子は初期の頃からうちのエースです。
上条春菜は守護神として中期の1年間を支えてくれました。
遊佐こずえはごく短い期間ですがチームに名を連ねました。
久川凪、堀裕子、関裕美は番号持ちですがチームに入ったことはありません、強化指定選手みたいな?要するにずっとそれなりに興味があって、そこから進められていない子たちです。
三村かな子水本ゆかりは現状わたしからは少し遠い子たちです。

以上を踏まえた上で(いや知らんけど)、今回のCDの4曲についてわたしなりに感じたことを書いてみたいと思います。ここからはネタバレよ~



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1.言ってみたい言葉はありますか?「Sing the Prologue♪」

 ”憧れのセリフを「 」に入れてみよう”

今回のCDのテーマはここに集約されると思っています(結論から入るスタイル)。言いたいことがあって、出したい想いがあって、でも恥ずかしかったり、言い方がわからなかったりして言えなかったことを思いきって言ってみよう!というわけです。

そして、その想いが誰かに受け止めてもらえた時、その人の物語は動き出していきます。シンデレラガールズのアイドルは、アイドルにスカウトされて、あるいはアイドル活動の中で、想いを受け止めてもらえる機会ができました。憧れが現実になりました。自分の考えていたことが間違いじゃなかったことが証明されたわけです。

 三村かな子・関裕美・久川凪・遊佐こずえ・堀裕子

この曲がこのメンバーで歌われたことは偶然ではないでしょう。
少し冷静に考えればわかることですけど、自分にしか理解できない事を思いつくなんて普通できないんですよ。ただ周囲に理解者がいなかっただけ。その「ただ」がとても重かった子もいるでしょう。この5人はそういう要素を持った子だと思っています。このメンバーに遊佐こずえが放り込まれて好き放題やってる姿は他のメンバー……特に凪や裕美には大きな救いなんじゃないかと思っています。

 ””はじまり”じゃなくて ”はじめる”が肝心なんだ”

「あなたはあなたのままでいい」って言われるのは一見すると冷たく見捨ててるようにも見えますが、結局は好き嫌いの世界でしかない以上、自分らしく生きるのが一番であって。だったら一歩踏み出しちゃえ!っていうのはきっとひとつの道。時を重ねれば重ねるほどアイドルたちが生き生きとしていくのはアイマスを長くやっている人ならわかるでしょう。みんないい子になっていく~って嘆く人もいますが、変わっていくことも含めて「あなたはあなたのままでいい」って受け止めてくれる人がいれば十分だとわたしは思っています。

 ”なんでもできる 真っ白なミライだから”

だって、毎日絵をかいていたら、たまには新しい色使ってみたいじゃないですか。


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2.純度100%の恋のうた「春恋フレーム」

 ”あなたが笑うと 初めて眼鏡をかけた日みたいに 世界がパッて見えます”

もうこの一文で恋の歌だ!ってなりました。上条春菜はメガネをかけたことで世界が明るくなった子です。その眼鏡と同じくらい”あなたの笑顔”にやられているんです。そんなあなたに対して向けた言葉が、

 ”えっと…眼鏡、好きですか?”

いかにも上条構文! さすがメガネ推しは強いですね。でも、好きになって、好きになった気持ちを伝えたい。それって恋と同じじゃないですか! 上条はメガネをかけて明るくなりました。恋する女の子は好きな人の笑顔を見て世界が明るくなりました。このふたつを掛け算すると、このフレーズにもう一つの意味が生まれてきます。

 ”えっと…眼鏡(の女の子は)、好きですか?”

これあれでしょ、好きな異性に好みのタイプをきくやつでしょ。髪はロング?ショート?服装は?スタイルは?……みたいな。上条は注目点がメガネだっただけ。メガネを好きになった私があなたを好きになったのなら、”あなた”にはメガネを好きになってほしいじゃないですか。というかですね、

 ”春色ワンピのティアード ひらりふわり ひるがえしたら 思い切って 踏み出し”

て聞いてる時点で察しろや!!! ……って、ちょっと思いません? 上条は私服が結構かわいいですし、実はちゃんとばっちり意識してるんですよね。第一メガネだってファッションの一部だし、顔の一部なわけで。メガネの女の子がメガネ好きですか?って聞いたら、男の子は女の子の顔を見るでしょ。女の子が男の子にメガネかけさせて「似合うね!」ってやるとき顔を見るでしょう。つまりはそういうことです。ずっと見ていたい!っていう乙女心の表れなのかもしれませんよ。

 ”オーバルウェリントン…うつむかずに見せたい”

誰彼構わずメガネかけさせようとするから油断していましたが、メガネを好きになってほしい=自分を好きになってほしい、というのは間違いなくあるでしょう。好きな人に自分の好きなものを好きになってもらいたい気持ち、これを読んでる皆様なら理解できるでしょう?

 ”ドキドキしちゃってるその理由は たぶん 全部 全部あなたです”

上条春菜と恋する女の子を掛け算した結果、純度100%の恋の歌ができた。この曲を聴いた時に真っ先に連想したのが菊地真の『自転車』でした。自分の想いをぶつけたいけどなかなか言えなくて言いよどんじゃう。それが上条語だと”眼鏡、好きですか?”なんだと思ってて、ようやく最後で好きな気持ちをオーバーキルでぶつけちゃうのはそんな気恥しさの表れじゃないかなって。そしてこの曲はアイドルソングとして歌われているわけですが、上条自身もわりとこう思ってるでしょう。変なやつって思われてるけど、人並みに恋もするんだぞ!ってね。

この曲ラストのフレーズにやられてる人が結構たくさんいますが、これフレーズ自体はゲーム版でも入ってはいて、そこからパワーアップしてたんですね。ゲームの時は気づかなかったけど……この勢いでゲームに入ってたらひっくり返っちゃうよなあw


……


3.私らしく、カワイくなあれ「私色のプレリュード」

 ”カワイくなあれ”

自分らしく振舞った結果、かわいいって言われたら嬉しいんですよ。水本ゆかりは自由になりたいとちょこちょこ口にするそうですが、自由になりたいというのは今までを否定することではなくて、もっと世界を広げたいということ。ヤドカリが成長に合わせて貝殻を交換するように、水本ゆかりの世界もまたどんどんバージョンアップして大きくなっていく。

 ”心にふっと、浮かんだ音符は 今までとこれからをつないだメロディー”

そうした「これから」始まるアイドル水本ゆかりにとって、アイドル生活の日々は刺激に満ちたものでしょう。あちこちから音が集まってきてひとつの音楽を奏でていて、そんな音にあふれた世界に思いついた音を乗せる。ありのままに歩む水本ゆかりらしいフレーズじゃないですか。そうして音を乗せることでアイドル水本ゆかりはここにいるという証明をするんですね。これから始まるプレリュード=前奏曲を聴いて、と。揺れる光の波、タクトに揺られて、程よい速さで歌う彼女は、流されているように見えて実は揺るがないマイペースな部分が出てる気がします。

 ”五線譜の中から 溢れ出す気持ち”

現状、水本ゆかりの言語が音楽に偏るのは致し方ないことで、音楽方面の学がないわたしでは理解が及ばず辛いところではあります。ただ、彼女が新しい言葉を得るのはこれからであって、その第一歩が「カワイイ」だったのだと思っています。五線譜では表せない気持ちを表現する仕方を身につけるのはこれからだし、いろいろ身につけた結果音楽で答えを出したとしてもそれも水本ゆかりであって。

 ”私らしく、カワイく あなたに届けたいな 私色のプレリュード”

このフレーズを学のないわたしが必死に翻訳した結果、「私に新しい世界をくれたあなたに届けたい気持ちがあるから、届くまで伝え続けます。私なりのやり方で」って変換されたのですが、もしかして水本ゆかりさん結構なパワープレイヤーだったりしますか? 言語が音楽なのも、自分らしさを崩していない表れでしょうし、これが今後音楽要素が薄まったとしても「今までの全部」で表現するということにきっと変わりはないでしょう。いくら15歳で年月が浅いとはいえ、今までの全部を尊重するって、なかなかできることじゃないですよ?

水本ゆかりさんは話を誤解されることが多いとちらちら聞きます。これは上条春菜にも、後述する喜多日菜子にも言えることですが、本人はずっと発信し続けていて、でもその発信がうまくいかなかったんですよね。普段日菜子を見ているから思うのですが、この子も日菜子並み、もしかしたらそれ以上に解読の難しい子な気がします。上手く伝えられなかった子たちにアイドルという機会を与えてくれたPにはわたしとしても感謝したいところです。あとがっつりお友達になってるしーなと有香にも。

そして、この曲はプレリュード。前奏曲。まだ始まりです。これからどんな音楽を奏でていくのか、何部構成のどんな曲になるのか。かのモーツァルトは下書きをせずに曲を書き上げたと言いますが、水本ゆかりは身体を張って曲を作っていくのかな、なんて。


……


4.ただのやりたい放題!?「世界滅亡 or KISS」

”憧れのセリフを「 」に入れてみよう” って最初に引用しましたが、
いっちばん長い「 」がきました。だってこの曲の歌詞全部だもん。日菜子は妄想が趣味で、でも歌詞に妄想という単語はひとつも入っていません。それもそのはず、あの歌詞カードに書かれているすべてが日菜子の妄想なのです。妄想に夢中になっている日菜子は何度か見たことあると思います。それを言語化するとこんな感じになるんですね。でもこれはほんの一例で、こういうことを延々と繰り返しているのが喜多日菜子という女なのです。

 ”運命の王子様と愛のキスができれば 呪いは解けることになりました \ヤッター/

ヤッターじゃねえんだよなあ。ここだけ毎回引っ叩きたくなります。日菜子そういうとこやぞ。
でもこういう夢中になってはじけ飛んでる姿こそ喜多日菜子だし、自分がそうありたいからこそみんなが夢中になることにとても寛容だったりします。

以前個人放送「喜多日菜子の王子様の理想を語る生」で盛り上がったのですが、日菜子は当初妄想している姿に周囲がついていけないことが多く、それがボイス実装前後から受け入れられるようになり、佐久間まゆ初めて妄想の中身まで受け止めてくれました。厳密に言うと、Pが日菜子をお姫様(アイドル)にしたことで妄想を具現化できるようになって、それをまゆが拾ってくれたんです。性別が違っていたら日菜子の王子様はまゆだったでしょう。

 ”(運命の王子様は)そもそも最初からそんな人、どこにもいなかったの”

王子様=魔法使い説は原作シンデレラでも言われていることですが、これは翻せば「誰でも王子様である可能性がある」ということであって、またそこからいろんな妄想を膨らませていくことでしょう。

 ”一つだけ確かなことは今も世界は続いてて、私は元気に夢を見ています”

ここポイントだと思ってて、元気に妄想しています、じゃないんですよね。つまり、続く

 ”いつか未来に、王子様とのハッピーエンドを”

は、日菜子が本当に願っていること。あれこれと妄想が捗る毎日ですけど、それはそれとして王子様とのハッピーエンドは夢見てますからね、一緒にいるあなた♪ というわけです。日菜子はPを王子様に見立ててあれこれ妄想を捗らせてきました。日菜子にとってPは「日菜子がお姫様になる前に出会った人」ですので王子様カウントからは外れてきたわけですが、今回「魔法使いさん」に言及したことにより、がっちりストライクゾーンに入れてきました。まあこんだけとりとめのない妄想を捗らせる日菜子が、王子様=魔法使い説を知らないわけもないですよね。

まあそんなわけで、「はいここまで全部妄想でした~♪」というオチだったわけですが、この曲が4曲目にあるということは、その4曲まとめて「ここまで妄想♪」って言ってるとも捉えられるのかなって気がしてて、それを踏まえた上で「目を開けると~」からをもう一度読み返すと、また違った感情が湧いてきてよいと思います。全部妄想だよ♪妄想だけど、それはそれとしてあなたのハッピーエンドは願ってます、なんてね。

 ”とっぴんむふふのふ♪”

そして最後の最後に秋田要素。とっぴんぱらりのぷー、知らなかったけど歌詞見た瞬間に方言だな?ってわかる代物。ほんと徹頭徹尾やりたい放題です。水本ゆかりの時に「自分らしく」という歌詞がありましたが、それを日菜子なりに実践した結果がこの7分オーバーの曲なわけです。日菜子に好き放題やらせるとこうなる……否、1曲に納めたからこの時間で済んだだけで、好き放題やらせたら際限なくなります。喜多日菜子と付き合うということはコレと付き合うということですよ王子様候補の皆様。

翻って、わたしの暴走したアレコレに付き合ってくれるフォロワー・リスナー・読者の皆様にはほんと感謝しかないです。わたしにとっての日菜子が、皆様にとってのわたしなんですからね。やってることは同じだし、自分もこうありたいと思うし、それを気持ちよくやってくれる喜多日菜子がわたしは大好きなんだと思います。


……


5.憧れのセリフを「 」に入れてみよう

今回の8人は「上手く自分を表現することができなかった」という根っこはきっと共通。そこからの伸ばし方というか、着目点というか、手段が違うだけ。雑に投げるなら、この子たちは俺らとまるで変わらないってことなんですよね。まあそれはこの8人だけじゃないでしょうけども。
わたしの頭で考えた結果、今回の4曲はそれぞれ、

Sing the Prologue♪は好きにあふれる「毎日」に、
春恋フレームは好きという「気持ち」に、
私色のプレリュードはこれから新しい好きを知っていく「道程」に、
世界滅亡 or KISSは自分の好きを「形にすること」に、

それぞれ軸足があるように感じました。その微妙な方向性の違いで誰を好きになるかがきっと分かれてくるのでしょう。美しい音色も不協和音も、バラしていけばひとつの音であって、そうしたいろんな音が集まった結果綺麗になるかならないかでしかありません。それに、どの音色を美しいと感じるかも人それぞれですから。

「あなたはあなたのままでいい」っていうのもまさにここに通じる話であって、それは変わるなって意味ではなく、変わっていくことも含めてあなたはあなただって意味。それを受け止めてくれる人の方へ歩いて行きましょう。

 ”憧れのセリフを「 」に入れてみよう”

あなたは、何を入れますか? アイドルたちは、何を入れるんでしょうね。

たった一言?
それとも超大スペクタクル?
愛の言葉?
かっこいい言葉?
何気ない日常で使う言葉?
普段あなたが使う言葉?
気取った言葉?
油断した時の言葉?



 


ここまで読んでくださり、ありがとうございました。