記録所。

ブロマガからの移転記事です。

「世界滅亡 or KISS」 世界を救うのか、喜多日菜子を救うのか。



「世界を救うのか、日菜子を救うのか」



ファンタジーものに限らず、創作世界においてよくある究極の二択。
あなたなら、どちらを選びますか。



 



どうも、59(ごきゅう)でございます。
日菜子の新曲「世界滅亡 or KISS」が登場したわけですが、この曲とんでもないですね。

 ――(日菜子の妄想)世界を救うか。

 ――日菜子を救うか。

今回の新曲はこの二択を問うているようにわたしには見えました。
そして、この二択で問題なのが、



「どちらも彼女にとって大切で、幸せなもの」だということ。



世界滅亡 or キス。つまり日菜子にキスをするということは、どちらかの世界が滅びるということ。妄想の王子様がキスをすれば現実が、現実の誰かがキスをすれば妄想の世界が。この曲は日菜子の夢うつつならぬ夢むふふな可愛らしい姿を現していると同時に、

日菜子にキスをする男に覚悟を問うてる曲だったのです!!!



(……という話を延々としていくのでよろしく☆)


……




1.日菜子とPの出会い

ここ最近ずっと仲良しな日菜子とまゆ。「ギュッとmilky way」でもずっとイチャイチャしていたこのふたりの共通点がどこにあるか、今まで正直よくわかっていなかったのですが、新曲登場後にあれこれ喋っていたら「構造は一緒、でも立場が違う」という結論に至りました。

 

コミュ1。日菜子は妄想に抱かれながら街をふらついていた時にスカウトされてアイドルになりました。このときアイドル=お姫様~なんて浮かれポンチだったわけですが、その幻想はすぐさまコミュ2で破壊されることになります。

 

この一言で。

日菜子の妄想の世界では日菜子はお姫様だったはずです。そんな彼女にPは「お姫様になれない」と言い放つ。つまりこれは「現実の世界では(今のままでは)お姫様になれない」ということであって。

当然ですが、Pはここで日菜子を現実のお姫様にしようとするわけです。



つまり構造上、日菜子は妄想の世界からPによって連れ出されたという格好。妄想の世界にいる限りお姫様でいられるし、いずれは王子様が手を取って幸せにしてくれる。そんな幸せ空間にいたはずなのに、突如現れた魔法使いによって手を引っ張られて現実世界に連れてこられたのです。

そこにPの罪の重さがあるし、初のソロ曲タイトルが「世界滅亡 or キス」だったことに繋がっていきます。その話に行く前に、まゆですよぉ。


……



2.まゆとPの出会い

ではそんな日菜子と仲良しなまゆは、Pとどんな出会い方をしたのでしょう。

 

コミュ1。運命の出会い。

 

そしてPのもとに転がり込んで「手を取って♪」とせがんできます。Pはタジタジ、その手を取ってプロデュースしていくことになります。まゆは自らPのいる世界に飛び込んだ。

つまりまゆの世界にPを連れてきたという構図なんです。




……そう、このふたり、

Pによって異世界に引き込まれた日菜子

Pを異世界に引き込んだまゆ


という関係なんです。構図は同じ、ですが立場が違う。同じ構図の被害者と加害者。

そして、先に物語を進めたのはまゆでした。まゆのソロ曲「エヴリデイドリーム」は、まさにそんな”運命の人”との夢のような日々を描いています。もちろんその先を望んではいるのですが、それはそれとしてPを連れてきたまゆは幸せなんです。



 

ですが、まゆは壁にぶち当たりました。

Pに恋い焦がれてアイドルになったはいいものの、アイドルである以上Pとの関係がそれ以上進まないのです。かといってアイドルとPというつながりで出会っている以上、アイドルの世界を容易に切り離せない。

 ――Pの世界を(アイドルとして)救うのか。

 ――Pを(女の子として)救うのか。

この二択を迫られました。そして、アイドルとして側にいることを誓ったのです。
もちろんいずれはふたりきりの世界になることも諦めてはいないでしょう。ですが現状迫られた二択では青を取ったのです。


……



3.世界を救うのか、キスをするか。

まゆからは遅れて物語が進んだ日菜子。まゆが直面した二択を迫られることになります。
ただし、選択を迫られるのは日菜子ではありません。Pです。

……もうおわかりでしょう。
佐久間まゆの物語は、まゆがPのもとに転がり込んできた、つまりまゆの世界にPを連れてきたことから始まりました。

連れてきたのはまゆ。だから選ぶのはまゆなんです。



喜多日菜子の物語は、Pが日菜子をアイドルにスカウトした。つまりPが日菜子を妄想の世界から現実へ連れてきたことから始まりました。

連れてきたのはP。だから選ぶのはPなんです。



 


えっ、日菜子に一目惚れしたから連れてきたわけじゃない……なんて、言わないですよね? アイドルの世界に連れてきたのは誰でしょうね、幸せな世界に浸っていた彼女の手を引いて、広い世界に連れ出したのは誰でしょうね。

その責任は果たさねばなりません。日菜子は「王子様は誰だろう」的な発言を時々しますが、つまりそれってそういうことだと思うんですよね。まさか連れてくるだけ連れてきて……なんてことはないですよね?

 ……ねぇ?

あ、ちなみにここら辺の話を踏まえて「ギュッとmilky way」の歌詞を見ると面白いですよ。同じ歌詞でも全然意図が違って聞こえますから。主題ではないので割愛しますが。


……




4.世界滅亡 or KISS

ということで、話は新曲に帰ってきます。
夢から醒めてしまうことを「世界滅亡」と表現するの、いいですよね。

夢から醒める前にキスをしてほしい。そんな思春期少女の純粋な願いを歌った曲。確かにそうでしょう。そっちが本線だとわたしは思っています。いますが!!!

古来から、お姫様の目を覚ますために王子様のキスが必要、という物語がありまして。夢が終わっちゃうからその前にキスしてほしい。でも、キスをしたらお姫様は目覚めるんです。夢の世界にはいられなくなるんです。



今、日菜子は並行世界に生きています。

王子様妄想が捗る幸せな妄想世界と、
Pに連れてこられた、アイドル喜多日菜子としての現実世界。

どちらも日菜子にとって大切で、幸せなものです。



Pに連れてこられた成果でしょうか、日菜子は妄想を”妄想のこと”として人に話せるようになりました。妄想の世界と現実世界の切り分けができるようになってきました。それはつまり、妄想のお姫様と、現実の日菜子お姫様の切り分けができるようになってきたということ。であるならば、王子様だって、きっと。



 



王子様はPじゃないって考えが多数派だとは思います。ですが、Pじゃない可能性はゼロではありません。それに、日菜子にキスをするということは、ただ王子様の夢から覚めるだけではないのです。現実の日菜子にキスをして王子様の夢から覚めるということは、

日菜子が妄想の王子様の手を取らない

ということなんです。これは、昔の日菜子では決してあり得ない事でした。むしろ王子様の手を、キスを、今か今かと待っていたはずです。その日菜子が、妄想の王子様の手を取らない日が来るかもしれない。そのきっかけを作るのは、現実の王子様……の有力候補であるPかもしれません。

日菜子にキスをするからには、お覚悟があるということでよろしいですよね、王子様?



まゆが、自分の気持ちを一旦抑えて、Pの望みを叶えることを選んだように。

Pは、自分の気持ちを抑えて、日菜子の望みを叶えることを選ぶのだって選択肢です。



……



「世界滅亡 or KISS」


 ――Pとして、日菜子の世界を救うのか。

 ――男として、日菜子を救うのか。






さあ、選びましょう?