記録所。

ブロマガからの移転記事です。

【モバマス考察妄想】ライラさんはシルクロードの果てに春を呼ぶ。


16歳  150 75-54-78  O型  右利き  5/21  ドバイ



どうも59です。
よしのんから実に4か月ぶりのモバマス考察妄想、今回はライラです。
わたしがシンデレラガールズを知ってから3度目の春。
一昨年も去年も大きな出会いがありましたが、今年の春も出会いがありました。

さて、いつものお約束です。
この考察妄想はモバマスカード及び誕生日台詞をもとにおこなっておりますが、
あくまでもわたし一個人の主観・偏見に基づくものであります。
公式や皆様のライラ観への干渉・アイドルおよび言及先を貶める意図はありません。
また引用台詞の表記揺れ・部分省略等はご容赦ください。



……



 


 「わたくしライラと申しますです。アイドル?それはお金を稼げますですか?」
 「ワケあって日本へ来ましたです」
 「アルバイト難しいので困っていたところなのでございますよー」

初期のライラさんはとにかく必死な気持ちが伝わってきます。
口を開けばお家賃と言い、アイスはぜいたくだという彼女がなぜ日本へ……?

 「有名になったらパパに見つかる……?それは困りますですね」
 「ママに応援されたです。パパは結婚の話しかしないです」
 「昔は広いお家に住んでいました。今はアパートでも幸せでございます」


家庭の事情で単身日本へ飛んでくる16歳の心情はいかほどでしょうか。
海外出身アイドルは他にナターリアなどがいますが、彼女はアイドルになりたくて来ます。
ですがライラの場合は逃避行。ほんの一握りの希望だけ持ってきた逃避行です。

 「お仕事、なんでもしますです」
 「あー……えっと……出来ますです」

仕事に対してのこれらの返事、彼女の心中はどのようなものだったでしょうか。
しかしお給料がもらえることは彼女にとって何よりも大切のようで、
ライラはPを「プロデューサー殿」と呼んで慕ってくれます。



ところで、「~~殿」って言葉、どこで覚えたんでしょうね。



日本=サムライ・ニンジャ!! ……で通じるのってどの辺までなのでしょうか。
ライラは後のカードで漢字が書けない、ひらがなも間違えるという様子が見れますが、
そんな彼女の日本に対するイメージはそのあたりだったのでしょうか?
というのも、ノーマルの次のカードで、



 


 「わたくしはこの衣装、すごく気に入ったのでございますよ」
 「カワイイ服で嬉しいのでございます」


と、和風の衣装に喜ぶ姿が見れます。
彼女はイスラム圏出身ですので露出の多さをどう考えているのか気になるところですが、
日本に詳しくない普通の外国人と考えると、和(風の)服が着れるのは結構嬉しいのかも。
しかもそれで誰かが喜んでくれて、お給料がもらえるんですからライラさん頑張っちゃう。

実際、この次のカードで呼称が「プロデューサー殿」から「○○殿」に変わりますので、
よっぽど嬉しかったのでしょうね。
ライラさんはお仕事を重ねて、ついにオンステージを迎えることになります。

 「みなさんー、ライラさんのステージでございますよー。
  ……あんまり目立つとパパに見つかってしまうかもですので、こっそり。
  ……でもわたくしのステージですから一番目立てるように頑張りますですー」

こうして結婚話を持ち込むパパから逃れつつアイドル生活を送り、
松尾千鶴や池袋晶葉に服をもらうなど友達も増えていったライラさんですが、
ここで、他のアイドルと協力しておこなう仕事が来ることになります。
4・5枚目のカード【ガールズロッカー】です。



 


 「やっておぼえる、ライラさんです」
 「スネアドラムってどれですか? その辺のどれか? 叩いて覚えますー」

いやー豪快ですねライラさんw いい性格していらっしゃる。
お家賃とか密かに必死になっているイメージが強いライラさんですが、
根本の性格はむしろ堂々としているというか、細かいことを気にしないのかも。
というかそんな性格でもない限り、一人で国を飛び出すなんてできませんよね……
そんなライラさん、よほどお仕事が楽しかったのでしょう、こんなことを言います。

 「ライラさんをドラムスで入れてくれて、ありがとうございます。
  音楽に国境はないでございませんですか?
  皆さんの後ろで叩いて、
最高にクールなバンドを盛り上げますですよ!」

音楽に国境はない。
裏を返せば、ライラはこれまで心のどこかで国境という障壁を感じていた、
言い換えれば、異国の地での暮らしにある種の引け目を持っていたのではないか。
ロックアイチャレ以前のカードの特技名は「青い眼差し」と「青いまなざし」。
異国の人に優しくされることに、心のどこかで動揺があったのではないかと思うのです。

それが、みんなで一緒に作り上げる仕事を経験したことで、一気に距離が縮まった。
みんなに対して心を開けるようになったんだと思います。
実はここを境に、
 「わたくし」
 「ライラさん」
とふたつあった一人称が「ライラさん」に統一されるのですが、この話は後程。






 「書けたー!書けましたでございます!(中略)全部日本語で書けました!」

ひらがなを書けたことに大はしゃぎ。かわいいなあ。

 「漢字はまだ書けないでございます。ひらがなからマスターですねー
 「スノーマン……スノーとは、なんでございます? 雪……」

このころからライラは積極的に学びに行く姿勢を見せるようになり、
今までの「みんなから助けてもらう」ばかりのライラから変わっていくことになります。
そうして自分から踏み出すことができるようになったのも、
日本という異国が、ライラにとって異国ではなくなってきたからだと思います。

 「ライラさんの国、とても暑い……帰るとスノーマン、水になってしまいますよー。
  だから、ずっと○○殿の国で、アイドルするです


でないと、こんな言葉は出てこないでしょう。
「ドバイに帰りたくない」と「日本にいたい」はイコールではありません。
彼女はここでおそらく初めて「日本にいたい」と明言した。そのくらい心を開いたんです。
もともと父親の出した結婚話が嫌で日本に来た子ではありますが、
その父親やドバイが嫌いになったかどうかまではわかりません。
そしてその答えは、SR【寂寥のアズラク】で出ることになります。



 



 「ママに写真を送ったら、幸せそうとお手紙もらいましたです。
  今はパパには内緒……でも、いつか○○殿にもあいさつしたいです

一人で遠い異国へ飛び出したくらいですから、当時はいろいろあったことでしょう。
ドバイは英語教育が盛んなので英語はある程度喋れるであろうライラが、
英語圏の日本をわざわざ選ぶくらいです。心底嫌だったに違いありません。
Pと出会った当初は「パパは結婚の話しかしないです」と吐き捨てていました。

 「騒がしいので逃げてきましたー」

だからPは、ライラが「日本にいたい」と意思表示したこのタイミングを狙って、
ライラの故郷と、そこにいる父親を思い起こさせるこの仕事を持ってきたんだと思います。
この仕事を持ってきて、ライラがどんな反応をするか。
流浪の旅人でしかなかった彼女が、安住の地を得て故郷をどう思うか。
彼女はPのこの問に、一言で答えてくれました。

 「砂漠にようこそですねー」

ようこそ、とPを迎え入れてくれました。
ライラは故郷が好きでいました。大好きな故郷に、大好きなPを迎え入れる。

 「懐かしい風景の中に○○殿がいます。不思議ですねー」
 「月が綺麗な夜、故郷の昔話をしてさしあげるでございますよー」

 「大丈夫ですー、ライラさんは砂漠に帰ったりはしませんです。

  ○○殿と一緒にいるこの場所も、わたくしの故郷ですよー」

ライラはここで、ドバイも日本も大切な故郷だと言ってくれます。
ドバイを飛び出して「おかえり」を失ったライラでしたが、
日本が故郷になったことで「おかえり」と言ってもらえるようになったのです。

 「今のライラさんは……アイドルですよー」

いつか、ドバイで「おかえり」と言ってもらえることを夢見つつ、
ライラは日本でアイドルしていくことになります。



  野菜を育てて、

  洗濯をして、

  すごろくで遊んで、

  おにぎりを作って。



シルクロードの遥か彼方からやってきたライラさんは、日本のアイドルになりました。
それを象徴する言葉が、最新カード【ラビアシュリータ】にあります。



 


 「春を呼ぶライラさんですよー」

長いセリフの途中に出てくる、たった13文字。なんでもないセリフです。
ですがライラの出身地はどこでしょう。ドバイです。ドバイには四季がありません。
四季のない砂漠に生まれたライラが、春を呼ぶ。素敵なことじゃないですか。
本当にさりげない一言です。さりげない一言ですが、この一言で充分でしょう。



ブロマガ中盤、初SR【ガールズロッカー】の話の中で、
「わたくし」「ライラさん」とふたつあった一人称が統一された、と話しました。
裏を返せばそれまでふたつに使い分けていたわけですが、その真意はどこにあったのか。
わたしはこう考えます。

「わたくし」は、ドバイからひとりやってきた異邦人としてのライラ。
「ライラさん」は、日本のアイドルとしての姿。

【ガールズロッカー】のカードでライラは「音楽に国境はない!」と叫びました。
そこでライラはこれまでの「異国の人」という自分を払拭したんだと思います。
ドバイから来た青い目の少女は、ここでようやく日本のアイドルになれたのです。



 


 「とても多く進んで、とても遠くへやってきてしまいましたです」

家出、逃避行、遠い異国での極貧生活。
そしてアイドル生活を経て、異国の少女は新しい故郷を見つけた。
そこから来た道を振り返ったライラの眼前には、長い長いシルクロードがあったのです。
マルコポーロは、シルクロードの東の果てに黄金の国を見ました。
彼はそこで折り返してしまいましたが、ライラは黄金の国へ渡ったのです。

 「笛を吹くとウグイスさんが来ますです。ウグイスさんが来ると春になりますね」

そして、日本の桜前線は西からやってきます。
長い長いシルクロードを旅してやってきたライラという西風が、日本に春を告げたのです。
新しい春が来たぞと告げているんです。
みなさん、春ですよ。春が来ましたよ。



……



余談ですが、シルクロードと言えばこの曲を思い浮かべる人も多いかと思います。





もともとはNHKのドキュメンタリー番組で使われた曲で、
シルクロードを中国から西へ進み、天山、コーカサスを越えてローマへ向かった番組です。
遥か彼方の異国を想わせるイメージとして作られたであろうこの曲は、
一部の小中学校で下校の曲として使われています(わたしの母校もそうでした)。

ライラさんの旅路は、まさに異国への果てしない、途方のない旅であったと思います。
しかしその終点にはアイドルという、日本という「我が家」がありました。
帰る場所を飛び出してきたライラさんが辿り着いたのは、帰る場所でした。



しかし、忘れてはいけないことがひとつあります。
シルクロードは交易路です。往復を成しえて初めて意味を持ちます。
往復を果たせなければ、故郷に富も、名声も、未知も、希望も、何ももたらされません。
ライラさんが歩いてきたのは、まだ片道。これから折り返しなのです。
往復を成しえて初めて、ふたつの故郷は結ばれるのです。

長い長い道のりになると思いますが、ライラさんとそのPさんなら、きっとできますよね?



 



そんなことを思い至り、衝動でこのブロマガを書いています。
いつもより遥かにポエミーな出来になりましたが、どうかご容赦ください。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。